『万引き家族』の感想
★★★★★(星5つ)
本日(6/18)、今一番ホットな作品であろう『万引き家族』をウォッチしてきました。
平日の昼間に関わらずほぼ満席!
そして意外にも年配者が大多数!
映画が終わる頃には年配者が全員、樹木希林に見えました。。。
さすがにカンヌで受賞しただけあって、宣伝効果抜群といったところでしょうか。
想像以上に混むので、チケットの確保は是非お早目に!
そして出来ればこの作品を観る前に『そして父になる』、『海街Diary』は観ておいた方がいいと思います。(恐らくほとんどの方が鑑賞済みだとは思いますが)
というのも、観終わった瞬間に(観ている最中も)、これは上記の作品を足して混ぜたらとんでもないのが出来ちゃった・・・風に思ったからです。
それでは本日もツラツラと思ったことを書いていこうと思います。(ネタバレも少しあります)
本編の感想
結論からいうと5つ星の満点です。最高でした。
役者ってすごい。特にリリーフランキー、安藤サクラ、樹木希林の3人は群を抜いています。もう安藤サクラに関しては今後も信代にしか見えない、というかこの際もう信代でいいでしょう。
あの涙の拭い方は流行りますよ。忘れた頃に細かすぎて伝わらない~とかに出てくるレベルです。ただし笑えないですけど・・・思い出したらグッときちゃった。
日本が誇る豪華俳優陣の名演技を観るためだけでも価値があると思います。
ここからはストーリーについて。
まず、始まってからわりとはやく家族が全員出てくるのですがここで違和感を覚えました。亜紀(松岡茉優)のポジショニングがわからない。信代の子にしちゃ大きすぎるし・・・
ここでもう作品に引き込まれました。そして私のそんな違和感には目もくれず、ストーリーは進んでいきます。
現代の日本が抱える、ネグレクトや幼児虐待、DVなど様々な社会問題に訴えかけていくように、重くて暗い絵が続きます。
しかしストーリーの中心である家族はなぜか温かい。汚いし、口も悪いんだけど、どこかでお互いのつながりや信頼関係のようなモノが見えてくる。
この繊細なバランスをはっきりと映像化するのはすごいことだと思います。
そしてまあ色々あって、やがて家族はバラバラに・・・
ここで家族の関係性がようやく明らかになっていきます。
ちなみに逮捕したのは警察官役の高良健吾&池脇千鶴ペア。(池脇千鶴老けましたねーもうギャップありすぎて『ジョゼと虎と魚たち』とか観れない)
このタイミングで家族に誘拐?されていた、じゅりは本当の家族の元に戻るのですが、これがまた残酷な・・・いずれ来るとはわかっていましたがいざその瞬間が来てみたら胸が苦しいのなんのって。
そんな苦しさを残したまま、なんだか『八日目の蝉』を彷彿させるエンディングを迎えます。
終わった瞬間の疲労感とやるせなさといったら半端じゃない。たぶんこれがフランス映画だったら死んでます。(日本人にしか表現できないと思いますが)
邦画でここまで爪痕残されたのは久々で良くも悪くも大満足でした。
この映画は観た人の分だけ色々な感想が生まれると思います。
面白いといえば退屈という人もいるでしょうし、温かいという人もいれば冷たいという人もいると思います。
しかしそれでいいのです。
一つだけ言えることがあるならば、この映画は万引きや車上荒らしを促進するためのモノではまったくありませんし、その行為を許容しているわけではないということです。
偶然、彼らをつなぐためのツールとしてそのような行為があっただけに過ぎず、それ以上の意味はないと思っています。
そのため、この映画を観た若い世代が以上のような犯罪を起こすのではないか?という議論は杞憂に終わるハズだと信じています。